9月を新学期に?秋入学のメリット・デメリットは?実際の教育現場の声を聞いてみる
こんにちは、はせちいです。
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新型コロナの影響による休校が長引く今、子供たちの学力低下防止などを目的として、新学期を9月にしてはどうかという議論が巻き起こっています。以前から、海外からの学生の受け入れや海外の学校への入学を考慮して9月入学の話題は出ていましたが、コロナの影響でさらにその声は高まっています。
小池都知事も「困難は生じる」とした上で「こういう時しか社会は変わらないんじゃないか」と、賛成の意向のようです。
個人的には、やはり桜が舞う「春入学」は心機一転、雰囲気があっていいなあと思いますが、自分が高校生・大学生といった学ぶ立場だったら、今の状況は不安でいっぱいです。逆に小学生・中学生は4~9月に行うはずだった行事がなくなり、悲しんでしまう人も多いと思います。
そのようなことを考えると、秋入学にすることで、学習面も行事も不安が改善されるのならば賛成です。
しかし、うちの家族や家族の中でも教育関係に勤めている人がたくさんいるので(実は教師一家の家庭でした)、コロナのときだけでも大きな混乱が生じていた教育現場にさらなる問題が発生することでの不安もあるなあと思います。
今日は秋入学にすることでのメリット・デメリットについて考えてみたいと思います。
秋入学のメリット
休校中の学校間の学習格差を埋められる
文部科学省が、臨時休校中の学校の学習支援について調査したものがこちらです。
・教科書や紙の教材を活用した家庭学習 : 100%
・テレビ放送を活用した家庭学習 :24%
・教育委員会が独自に作成した授業動画を活用した家庭学習 :10%
・上記以外のデジタル教科書やデジタル教材を活用した家庭学習 : 29%
・同時双方向型のオンライン指導を通じた家庭学習: 5%
・その他 :12%
(文部科学省HP:新型コロナウイルス感染症対策のための学校の臨時休業に関連した
公立学校における学習指導等の取組状況について )
この結果からもわかる通り、コロナによる休校措置に対して学校や自治体での教育支援は様々であり、授業の進行具合も変わってくるため学習状況に差が出てしまう可能性もあります。
しかし、半年間の猶予があれば、この差は十分に埋めることが出来ると考えます。
中止になるはずだった学校行事が経験できる
コロナによる休校のため、入学式・卒業式だけでなく修学旅行や運動会、学芸会など多くの行事が中止になっています。
最近は高体連も中止になったというニュースもありましたね。
行事は学校生活にとってかけがえのない時間です。
秋入学にすることで、そんなかけがえい時間を取り戻すことが出来ます。
大学などでの交換留学がしやすくなる
実はグローバル化を目指す大学ではすでに秋入学は始まっています。国際標準である秋入学への全面移行を機に、海外で通用するプログラムを増やしたり、海外の大学や教育機関との交換留学制度を充実させることができます。
交換留学の充実化により、将来の日本が明るくなる可能性もあります。
就職活動・各種試験まで時間的余裕ができる
コロナが落ち着けば、6~7月あたりから「状況をみながら」就活が再開される予定です。準備ももできず、精神的余裕もないまま就職活動にのぞむのは難しいところがあります。
しかし、学校と同じ様に会社も9月入社とすれば余裕をもって就職活動・各種試験に臨むことができると考えます。
冬の入試を避けることが出来る
日本の入試時期・受験時期は冬の寒い時期にあるので、その時期は風邪やインフルエンザが流行しやすく万全の体調で臨むことが難しい状況になります。また、毎年のようにニュースになっている、積雪などの影響で交通機関が乱れることを想定して受験に臨む必要があります。
冬の入試がなくなるだけで受験生のストレスが軽減されることが期待できますね。
秋入学のデメリット
教育現場、社会全体で混乱が生じる
今までにないことをするため、もちろん混乱は生じます。法律改正、教育現場の調整、就活などなど。開始したとしても様々な問題が発生すると思いますが、開始するならある程度の混乱はみんなが理解した上でやる必要があります。
親の金銭的負担
小中高大学がすべて一斉に9月入学になった場合、今年度に関しては在籍期間が1年半となります。その間の学費や、生活費などの仕送りの金銭的負担が増大します。
また、浪人生は受験時期が延びるためその半年分の授業料がかさんでしまうことになります。生徒側が負担するのか、予備校側で補助を出してくれるのか、そういった対策も必要となります。
せっかく勉強してあこがれの大学生になった人も、退学を検討せざるを得ない状況が生じてしまっています。
ある学年だけ不利益になってしまう可能性
現在年長さんの学年は、2021年4月に小学校1年生になる予定です。秋入学になることで年中さんの子のうち、4月から8月生まれの子も、2021年9月に1年生になります。今後ずっと、この学年だけ人口が1.4倍という状態が続きます。
こうなることで起きるのが受験戦争です。入試の倍率が上がるだけでなく、そのまま就職活動の倍率も当然上がる可能性が高くなります。
もし秋入学制度を開始するとしたら、2015年4月~2016年8月生まれの子供に不利益がないようにすることが重要です。
もともと人手不足の業界では深刻な問題に
秋入学にすることで、半年間、新規の労働力が減ってしまうリスクを考慮しないといけません。コロナの影響で不景気になり、就活が大変になるという意見もある中、一方で、医療崩壊が心配されているように、医療の人手はあってもあっても足りません。医療だけでなく、介護、福祉、保育なども、いまでも人手不足の状態は続いています。
秋入学にすることで、医学生・看護学生の就職が半年遅れてしまうことで、医療需要が増える中、労働力が減ってさらなる医療崩壊が起こるリスクも考える必要があります。
教育現場の実際の声は?
実は私の家庭は教師一家でした。
テレビ電話をして、現場の意見を聞いてみました。
今回のコロナに対しても教育現場では様々な混乱が生じていたことを聞きました。
秋入学になることに対する教員の実際の声についてまとめました。
Aさん:中学校校長
賛否両論はありますが、やることはいいと思う。
でもやるとなると、小中高の問題でなく、幼小中高大学、特別支援など学校と呼ばれる機関はすべて一律変えないといけない。
ただ、今回急を要して短い期間でやることは難しいんじゃないか。
一番の難点は年度スケジュールの調整。(教育課程)
授業や行事を組みなおす調整に相当な時間がかかる。通常は、次年度の準備を半年以上前から始めている。今決定したとしても遅い。普通は半年以上かかるものを数か月でやらなければいけない。
先生方もテレワークのところが多いから、その状況の中で3ヶ月で教育課程を組みなおすのは難しい。
やるならやるで今!本当に今がタイムリミットだと思う。やるとしたら5月末までに決定を出すと言ってるが、3ヶ月で準備は到底難しい。
完璧な形でやるとしたら1年がかりでかかる。やむを得ずやるなら、授業優先になり行事などの妥協は少なからず必要。
また、現段階で1学期の行事は中止・延期になっている。オンライン授業を取り入れている学校は授業の時数を稼げるからいいが、やっていないところでは難しい。
もう一つの懸念は、9月からスタートだとして、そこまで子供たちを家においておくことで家族の負担の増大だけでなくゲーム漬けになってしまったり、家庭崩壊もなりかねない。家庭での生活を9月まで延長させるには別の面のリスクがある。
9月からスタートするにしても、緊急事態宣言が終わったら学校に子供たちを呼んで生活させてあげたいと思う。
Bさん:小学校教員
9月入学には賛成。やるならやるでいい。この状況だからこそやってもいいんじゃないかとは思う。多少形が壊れてもやる気ならできないことは無いと思う。
それよりも、子供の生活を考えると、緊急事態宣言が解除されたらすぐに学校に戻してあげたい。普段の生活のリズムを整えてあげたい。
現段階で、一学期の行事はすべて中止になった。子供たちの意欲がなくなってしまうから、違う形でイベントをつくってあげたい。
Cさん:スクールカウンセラー
国のお偉いさんたちだけで決めているのはいかがなものか。一番は行政・教員・子供たち、現場の声を聴かないとだめだろう。子供たちは、桜のときに入学式という感覚がある中、それを無理やりかえることは可哀そう。子供の70%くらいは「今のままがいい」という話が出ている。まずは現場の声を聴いてほしい。にわかに決めるような問題ではない。
9月入学で誕生日は?早生まれの概念はどうなる?
現在は4月2日生まれ~4月1日生まれが1学年の区切りになっています。
9月入学になった場合は、学年のくくりは9月2日生まれから翌8月31日生まれまでになると考えられます。
もし今の早生まれの概念を継続して使うとすると、早生まれは
「早生まれは6月1日から9月1日の間に生まれた人」となります。
しかし、アメリカやフランス、その他の秋入学の国でも、学年の区切り方はそれぞれのようなので、9月2日からというのは絶対ではないということがわかりました。
フランス:1月~12月生まれの子が同学年
イギリス:9月1日~8月31日生まれの子が同学年
アメリカ:学年の区切りは州ごとに違う。8月から1月の間で区切られることが多い
さいごに
昔から春入学が根付いている日本で、この短期間に秋入学にするという大きなことを挑戦することはとても大変なことで容易なことではないと思います。
もし開始するとしたら、国や行政、学校機関、企業などなど様々な職種の連携やサポート、国民の理解がないと難しいことであると考えます。
どんな形になったとしても、学校生活というかけがえのないものを1秒も無駄にしないような仕組みづくりをしていってほしいなと、学生時代を経験したからこそ思います。
こんな庶民主婦ブロガーの意見を最後まで見ていただき、ありがとうございました。
まずは、コロナが終息することを1番に祈っています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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